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猫は隠れたものを覚えている?物体の永続性の研究

猫は隠れたものを覚えている?物体の永続性の研究

この記事の要点

  • 成体の猫は、目の前で隠される「見える移動」の課題を解くことができます。
  • 覆いの中に入れたまま移動させる「見えない移動」の課題では、成績が大きく下がることが報告されています。
  • 物体の永続性は人間の乳幼児の認知発達を記述する枠組みで、猫の成績をその段階に照らす比較が行われてきました。
  • 段階の一致は認知全体の一致を意味せず、猫を人間の年齢に換算する根拠にはなりません。

おもちゃをソファの下に転がすと、猫は前足を突っ込んで探します。この当たり前の行動は、認知科学では「物体の永続性」と呼ばれる能力の現れです。物は見えなくなっても存在し続ける、という理解のことです。

見える移動は解ける

Doré(1986)は、成体の猫を対象に物体の永続性の課題を体系的に実施しました。目の前で対象物を覆いの下に隠す「見える移動」の条件では、猫は隠された場所を正しく探索できました。

この段階は、人間の乳児では生後1歳前後に安定するとされる水準に相当します。猫にとっては狩りに直結する能力でもあります。草むらに逃げ込んだ獲物が消えたわけではないと理解できなければ、待ち伏せは成立しません。

見えない移動になると成績が落ちる

難しくなるのは「見えない移動」です。対象物を手や容器の中に入れたまま複数の覆いの間を移動させ、最後に一つの覆いの下に置く。この場合、対象物の軌跡は一度も見えません。移動の経路を頭の中で追う必要があります。

Doréの研究では、この条件で猫の成績は大きく低下しました。人間では2歳前後で安定するとされる水準であり、猫はここに明確な壁があるとされています。ただし後続の研究では課題設計によって結果が変わることも指摘されており、「猫にはできない」と断定するより「条件によって成績が大きく変わる」と理解するのが妥当です。

保持できる時間の制約

隠し場所を覚えていられる時間にも限界があります。Fiset & Doré(2006)は、4つの箱のいずれかに隠された物を探す課題で遅延時間を変え、正確さが0〜30秒の間に急速に低下すること、それでも60秒後に偶然の水準を上回ることを報告しました。

つまり猫は「隠れた物は存在し続ける」と理解していても、その場所の情報は数十秒で曖昧になります。探すのをやめる行動は、理解の欠如ではなく記憶の減衰として説明できます(猫の記憶力はどれくらい?)。

家庭で試すときのコツ

布の下におもちゃを隠す観察は家庭でも簡単に試せます。第一に、猫が見ている前で隠すこと。第二に、隠してから10秒以内に探索の機会を与えること。第三に、猫が見つけたら遊びで報酬にすること。

うまくいかない場合は、猫の視覚特性を考慮します。猫は静止した物より動く物に強く反応するため、隠す直前に軽く動かすと注意が向きます。手順の詳細は猫のIQテストは家でできる?にまとめています。

「幼児並み」という言い方の限界

物体の永続性の段階を人間の発達段階に照らす比較は、研究の便宜として有用です。しかしこの一致から「猫は人間の何歳」と結論するのは飛躍です。猫は音源の定位や動体視力で幼児を大きく上回り、言語課題では成績が出ません。得意分野の形が違う相手を一本の年齢軸に載せることはできません(猫のIQは平均いくつ?)。

人間の空間認知を測る

見えない移動を頭の中で追う能力は、人間では空間認知やワーキングメモリと関わります(空間認識能力を鍛える方法)。ねこIQの無料IQテストでは、図形の回転や展開を扱う空間推理の問題を含む4分野を20問・約10分で測定します。結果は自己理解のための推定値であり、公式な知能検査の代わりではありません。

よくある質問

猫は隠したおもちゃを探しますか?

目の前で隠された場合は探します。猫は物が見えなくなっても存在し続けることを理解しており、直前に見た隠し場所を手掛かりに探索します。

猫が探すのをやめてしまうのはなぜですか?

隠し場所の情報が保持できる時間には限りがあります。隠された物を探す課題では、正確さが0〜30秒で急速に低下することが報告されています。興味の低下も理由になります。

物体の永続性とは何ですか?

物は見えなくなっても存在し続ける、という理解のことです。人間では乳児期に段階的に獲得され、動物の認知研究でも比較の指標として使われています。

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編集・免責事項

ねこIQ編集部

本記事はねこIQ編集部が、動物認知・行動・獣医学に関する査読研究を参照して執筆・編集しています。研究で直接測定した結果と解釈を分け、対象数、課題との相性、参加意欲などの限界を可能な範囲で明示します。

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