猫の記憶力はどれくらい?作業記憶と経験の研究
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この記事の要点
- 隠された物を探す課題では、猫の正確さは0〜30秒で急速に下がり、60秒後でも偶然の水準は上回りました。
- 猫は一度きりの食事場面から「何を・どこで」の情報を意図せず覚え、後から利用できることが示されています。
- 猫は飼い主の声を他人の声から聞き分け、自分の名前をほかの語から識別する反応を示します。
- 猫の記憶は一つの持続時間で表せるものではなく、課題の種類によって測られる長さが変わります。
おやつを隠した場所を覚えている、動物病院のキャリーを見ただけで逃げる。猫の記憶は日常のあちこちで顔を出します。では実験では、どこまで測られているのでしょうか。
隠れた物を覚えていられるのは1分程度
Fiset & Doré(2006)は、24頭の猫を対象に、4つの箱のいずれかに隠された物を探す課題を実施しました。遅延時間を変えて正答率を調べた結果、正確さは0〜30秒の間に急速に低下する一方、60秒の遅延でも偶然の水準を上回りました。
これは人間でいう作業記憶(一時的に情報を保持して使う仕組み)に近い測定です。人間の作業記憶も、数字の並びを何も見ずに保持できる時間は驚くほど短いことが知られています(ワーキングメモリを鍛える方法)。猫の1分弱という値は、動物の作業記憶としてとりわけ短いわけではありません。
一度の経験から「何を・どこで」を思い出す
Takagiほか(2017)は、猫に複数の皿から食事をさせたあと、予告なしに「どの皿で何を食べたか」を利用する場面を設けました。猫は覚えようとして覚えたわけではない情報を、後から取り出して行動に使うことができました。犬を対象にした同型の研究と類似した結果です。
研究者はこれをエピソード的記憶に「似た」働きと表現します。人間の思い出のような主観的な体験を証明したわけではありませんが、単一の出来事から内容と場所を結びつけて保持する仕組みが猫にもあることを示しています。
飼い主の声と自分の名前は長く残る
Saito & Shinozuka(2013)は、20頭の家庭猫に飼い主と他人の声で名前を呼びかけ、猫が飼い主の声を識別することを示しました。反応は鳴き声や尻尾の動きではなく、耳や頭を向ける定位行動として現れました。
さらにSaitoほか(2019)では、家庭猫が自分の名前を一般名詞やほかの猫の名前から区別する反応を示しています。日々の生活で繰り返し聞く音のパターンが、長期的に保持されていると考えられます。関連する研究は猫の知能はIQで測れる?にもまとめています。
「記憶力◯秒」という数字が誤解を生む理由
動物の記憶を一つの秒数で語ると、必ず矛盾が生じます。隠れた物の位置は1分弱で曖昧になるのに、飼い主の声は何年も覚えている。この二つは別々の記憶の仕組みだからです。人間でも、電話番号を保持する作業記憶と、子ども時代の出来事を思い出す記憶は別系統です。
猫の記憶を評価するときは、「何を・どのくらいの遅延で・どんな手掛かりのもとで」測ったのかを確認しましょう。数字だけが独り歩きした情報は、たいてい前提が抜け落ちています。
猫の認知研究の全体像は、猫のIQは測れる?猫の知能研究まとめに分野別でまとめています。
人間の記憶も測ってみる
記憶は認知能力の中核の一つで、人間の知能検査でも重要な位置を占めます(認知能力の種類)。自分の記憶や推論の傾向を知りたい方は、ねこIQの無料IQテストで20問・約10分の4分野診断を試せます。猫の写真とともに進む構成なので、緊張せずに取り組めます。結果は自己理解のための推定値であり、公式な知能検査の代わりではありません。
よくある質問
- 猫の記憶力は何秒くらいですか?
課題によります。隠れた物の位置を探す作業記憶では、正確さが0〜30秒で急速に低下し、60秒後でも偶然を上回る水準が報告されています。一方で飼い主の声の記憶はより長期に保たれます。
- 猫は飼い主のことを覚えていますか?
実験では、猫が飼い主の声を他人の声から聞き分け、耳や頭を向けて反応することが示されています。長期的な社会的記憶を持つことを支持する結果です。
- 猫は嫌な経験を覚えていますか?
猫は一度の経験からも情報を保持できることが示されており、恐怖と結びついた場所や状況を避けるようになることは珍しくありません。動物病院を嫌がる反応はその一例と考えられます。
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編集・免責事項
本記事はねこIQ編集部が、動物認知・行動・獣医学に関する査読研究を参照して執筆・編集しています。研究で直接測定した結果と解釈を分け、対象数、課題との相性、参加意欲などの限界を可能な範囲で明示します。
本サイトのテストは娯楽・自己理解を目的とした推定値を提供するものであり、医療・臨床目的の検査や公式な心理検査(知能検査)ではありません。
