猫の表情は276種類?顔のシグナル研究が示すこと

この記事の要点
- 猫カフェの成猫53頭を観察した研究は、猫同士のやりとりで276種類の顔の表情を記録しました。
- 表情は耳・目・ひげ・口など複数の顔の動きの組み合わせで作られています。
- 友好的な文脈と非友好的な文脈では、顔の動きの形が異なることが示されました。
- 猫が豊かな顔のシグナルを持つことは、家畜化を通じた猫同士の社会性の獲得と関連づけて議論されています。
猫は表情が乏しい、とよく言われます。ところが顔の動きを細かく符号化して数えると、まったく違う姿が見えてきます。
猫カフェで276種類の表情
Scott & Florkiewicz(2023)は、ロサンゼルスの猫カフェで成猫53頭の行動を観察しました。猫用に設計された顔面動作符号化システム(CatFACS)を使い、猫同士のやりとりで生じる顔の動きを記録しています。
その結果、友好的な文脈と非友好的な文脈を通じて、276種類の形態的に異なる表情が確認されました。これは「276通りの感情がある」という意味ではありません。表情は耳・目・ひげ・口といった複数の顔の動きの組み合わせで作られるため、組み合わせの数として大きくなるのです。
友好と非友好で顔の形が違う
研究の狙いは、数を数えることではなく、表情の物理的な形と社会的な機能の関係を調べることでした。研究者は、友好的な場面と非友好的な場面では表情の複雑さと構成が異なると予測し、実際に違いを見出しています。
この結果は、猫の顔のシグナルが単なる感情の漏れ出しではなく、相手に向けた社会的な機能を持つ可能性を示します。
なぜ猫にこれほどの表情があるのか
研究者は、家畜化の過程で猫が猫同士で暮らすようになったことと関連づけて議論しています。野生のヤマネコは基本的に単独で生活します。人の周りに集まって暮らすようになった猫は、近い距離で他個体と共存する必要が生まれました。
近距離での共存には、争いを避け、関係を維持するためのシグナルが必要です。豊かな顔のシグナルは、その適応の一部かもしれません。
人に向けた表情はまた別
この研究が扱ったのは猫同士のやりとりです。人に向けたコミュニケーションについては別の研究があります。de Mouzonほか(2023)は、飼い主が声だけ・視覚だけ・両方を使う条件で猫の反応を比べ、伝達の様式によって猫の行動が変わることを報告しました。
また、ゆっくりまばたきをすると猫の目の細めが増え、初対面の人でも猫が近づきやすくなることが示されています(猫は人の言葉が分かる?)。
飼い主が使える読み方
第一に、単独のパーツで判断しないこと。耳だけ、しっぽだけでは誤読が起きます。第二に、文脈と一緒に見ること。同じ耳の角度でも、遊びの最中と診察台の上では意味が変わります。第三に、変化を見ること。その猫のいつもの顔からのずれが最も有用な情報です。
痛みのある猫の表情については、獣医療で専用の評価尺度(Feline Grimace Scale)が開発されています。急な表情の変化が続く場合は受診を検討してください(猫も認知症になる?)。
人間の表情読み取りと知能
人間でも、表情の読み取りは知能検査の対象ではなく社会的認知として扱われます(EQとIQの違い)。ねこIQの無料IQテストが測るのは図形の規則を見つける非言語の推論能力で、20問・約10分の4分野診断です。結果は自己理解のための推定値であり、公式な知能検査の代わりではありません。
よくある質問
- 猫の表情は何種類ありますか?
猫カフェの成猫53頭を観察した研究では、猫同士のやりとりの中で276種類の形態的に異なる顔の表情が記録されました。これは表情が複数の顔の動きの組み合わせで作られるためです。
- 猫の表情から気持ちは分かりますか?
文脈と合わせれば手掛かりになります。友好的な場面と非友好的な場面では顔の動きの形が異なることが示されています。ただし単独の表情から感情を断定することはできません。
- 耳を伏せているのはどういう意味ですか?
一般に警戒や不快、防御的な状態と関連づけられますが、耳の動きだけで判断するのは危険です。姿勢、しっぽ、ひげ、その場の状況を合わせて読んでください。
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本記事はねこIQ編集部が、動物認知・行動・獣医学に関する査読研究を参照して執筆・編集しています。研究で直接測定した結果と解釈を分け、対象数、課題との相性、参加意欲などの限界を可能な範囲で明示します。
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