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猫はなぜ箱が好き?錯視の四角にも座る実験でわかったこと

猫はなぜ箱が好き?錯視の四角にも座る実験でわかったこと

この記事の要点

  • 猫は床に貼った本物の四角と、輪郭のない錯視の四角に、ほぼ同じ頻度で座りました。
  • この結果は、猫が人と同じように主観的輪郭を知覚している可能性を示します。
  • 箱を好む理由は視覚だけでなく、保温と安心の確保にもあります。
  • 隠れ場所を与えると、猫のストレス指標が下がることが別の研究で示されています。

猫は箱に入ります。段ボールでも、床に貼ったテープの四角でも入ります。では、線が一本も引かれていない「見えるだけの四角」ではどうでしょうか。

カニッツァの四角を床に置く

Smithほか(2021)は、市民科学の手法でこれを調べました。飼い主に手順書を渡し、自宅の床に3種類の図形を並べてもらいます。テープで作った本物の四角、切り欠きのある円を4つ並べて四角に見せるカニッツァ図形、そして同じ円を回転させて四角に見えないようにした対照条件です。

500頭が参加し、手順を最後まで完了したのは30頭でした。そのうち一貫して図形を選んだ9頭の結果は、本物の四角に8回、カニッツァの四角に7回、対照条件には1回。つまり猫は、輪郭が実在しない四角にも本物とほぼ同じように座ったのです。

主観的輪郭という現象

カニッツァ図形は、切り欠き円の配置から脳が輪郭を補完することで四角が見える錯視です。人間の視覚系は、途切れた情報から連続した形を作り出します。猫でも同じ補完が起きているなら、線がなくても「囲み」として扱われるはずで、実験結果はそれと一致します。

この補完は犬でも報告されています。輪郭の補完は、草むらで部分的に隠れた獲物を一つの物体として捉えるうえで有利に働いたと考えられます。猫の視覚の特徴は猫の脳の構造でも扱っています。

サンプルサイズの限界も見る

この研究は面白い結果ですが、完了30頭・一貫して選んだ9頭という規模です。著者ら自身が、追試と統制条件の追加が必要だと述べています。ニュースの見出しだけで「猫は錯視を見る」と断定するのは早すぎます。

市民科学は、実験室に猫を連れてくることで生じるストレスを避けられる利点があります。一方で手順の統一が難しく、脱落率も高くなります。猫の研究に共通する制約です。

視覚だけが理由ではない

箱を好む理由は錯視の話に尽きません。猫の快適な温度帯は人よりやや高く、囲まれた空間は体温を保ちやすくなります。加えて、視界を制限できる場所は捕食者にも被捕食者にもなり得る動物にとって安全な待機場所です。

Vinkeほか(2014)は、保護施設に来たばかりの猫に隠れ箱を与える実験を行い、箱がある群でストレス指標が低くなることを報告しました。環境が変わった直後ほど、隠れ場所の効果は大きくなります。

家庭でできること

第一に、蓋のない箱を高さの違う場所に複数置くこと。猫は高い場所からの見張りを好みます。第二に、通り道を塞がない位置に置くこと。逃げ道がある隠れ家でなければ、安心の場所にはなりません。

第三に、来客や工事など環境が変わるときこそ箱を増やすこと。ストレスは認知課題の成績にも影響します(猫のストレスと認知)。猫の行動研究の全体像は猫のIQは測れる?にまとめています。

人間の錯視とIQ

人間でも、主観的輪郭の知覚は視覚系の基本的な性質です。IQテストの図形課題は、この知覚のうえに成り立つ「規則の発見」を測ります(レーヴン漸進的マトリックス)。ねこIQの無料IQテストは20問・約10分で、図形の規則性を見つける力を測定します。結果は推定値であり、公式な心理検査ではありません。

よくある質問

猫はなぜ箱に入りたがるのですか?

囲まれた空間が身を隠せて保温にも適しているためです。実験では、猫は輪郭が実在しない錯視の四角にも座り、視覚的な囲みそのものに反応することが示されました。

錯視の四角に座るとはどういう意味ですか?

床に置いた4つの切り欠き円が四角に見えるカニッツァ図形に、猫が本物の四角と同程度の頻度で座ったということです。線が引かれていない輪郭を見ていることになります。

猫に箱を用意したほうがいいですか?

はい。保護施設の猫を対象にした研究では、隠れられる箱を与えた群でストレス指標が低くなりました。特に環境が変わった直後に効果があります。

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ねこIQ編集部

本記事はねこIQ編集部が、動物認知・行動・獣医学に関する査読研究を参照して執筆・編集しています。研究で直接測定した結果と解釈を分け、対象数、課題との相性、参加意欲などの限界を可能な範囲で明示します。

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